連続ドラマ小説のロケ地としても使われている
愛知県犬山市にある
博物館明治村には
国指定重要文化財10件を含む67件の建物と施設物が保存されています。
明治以降、近代日本の芸術的、歴史的かちのある文化財の保存を図るため
全国各地のみならず、海外からも移築復元を行い
100万平方メートルもの敷地に公開されています。
石川県金沢市の郊外にある涌湯温泉郷には
江戸時代の加賀藩を中心とした古民家が
農家、武家屋敷、商家、宿場問屋、武家門と8軒展示されている
金沢涌湯江戸村があります。
茅葺き屋根の文化を継承する取り組みも行なわれており
茅を供給する為の萱場や茅葺きの技術者を育成する取り組みも
同施設で行なわれているそうです。
茅文化をつたえる
美しい町家の木組み
商家の奥にある茶室「通楽庵」
むき出しの茅葺き屋根裏
他にも国指定重要文化財の越前鯖波宿の本陣、石倉家は
寺の庫裏を思わせる大きな反りのある切妻を持つ1800年頃の建物で
参勤交代等の際は大名の宿としても利用され
茶室や専用の門も現存しています。
秋田にも江戸時代に佐竹藩の大名の宿としてつかわれた建物が残っていますが
現在も住居として使われていると言う事もあり
その歴史的価値と文化的利用価値が認められないままの状態ではありますが
現代のライフスタイルに見合った形に変わって残っている事も
歴史の1ページとして考えなければいけないのかもしれません。
同じく重要文化財の大変珍しい茅葺きの民家、旧園田家は
紙すき農家で紙すきの道具も現存展示されています。
特徴的な馬蹄型のヒダチ(排気口)を持つ茅葺きの屋根が印象的で
背面の庇にも珍しい笹葺きが見られる貴重な建物です。
農家の生活空間と紙すきの職人の工房が共存する大変珍しい農家です。
秋田にも似たような施設として
江戸〜大正期の茅葺き古民家が4軒移築復元されていて
通年で見学が出来ます。
以上のように保存復元展示という形で
建物を残していくやり方もありますが
長い目で考えるとやはり維持管理費用がかかってくるので
それを入場料と助成金に依存してしまうと継続は容易な事では有りません。
中心市街地が空洞化している今、
かつて美しい町並みと評された城下町の風情を感じられるまちづくりとして
現在空き家となっている町家を未利用の空地に移築復元し
それを飲食店や各種小売店やお土産屋などとして利活用するのも
貴重な文化財を持続可能な形で保存する方法の一つではないでしょうか。
移築、復元にはそれなりの資金が必要ですが
建物の維持、修繕に掛かる費用は家賃で賄う事もできるし
土地の固定資産税等でも優遇する事ができれば土地所有者にとっても
メリットは大きい上、観光客が増えれば地域にとっても喜ばしい事です。
京都や金沢ではこういった形で古い町並みが守られ徐々に復元されてきています。
土地や建物を債券化して出資を募ったり、町家ファンドとして
助成金に依存しない、市民の協力からも成り立っています。
秋田市の新屋商店街や牛島商店街や旭南商店街には
まとまった形で町家がまだ残っています。
足りない部分を空地に移築復元と言う形で補い
大町や中通にも点在する古い建物を商業テナント、観光案内所、
文化施設、行政施設等として再生させれば
市内を公共施設や自転車、徒歩で回遊出来る
地域住民にとっても観光客にとっても魅力的な町になっていくと思います。